ADHD(注意欠陥・多動性障害)の改善

スティクスラッド博士:超越瞑想を実践するADHDの中学生を対象に行った予備的研究で、私たちは、瞑想を始めてから3か月後の生徒たちと面談しました。私たちはこう尋ねました。
「数か月間瞑想した後、どんなことに気づきましたか?」

スティクスラッド博士:その子たちのほぼ全員が、
「ストレスがずっと少なくなったのを感じるし、前よりリラックスしている気がする」
というようなことを言いました。

また、彼らのほとんどがこう言いました。
「頭の中がきちんと整理されている感じがする。宿題がよく出来るようになったと思う。両親に助けてもらう必要がなくなった」

性格が著しく衝動的だった少年がこう言っていました。
「瞑想を始める前は、廊下を歩いていて他の中学生が僕にぶつかれば、僕は振り返ってその子を殴っていました。3か月瞑想した今では、誰かが僕にぶつかったとしても、立ち止まってこう考えます。「こいつを殴ろうか、やめておこうか」」

どうということはないと思われるかもしれませんが、衝動的な子どもやティーンエイジャーを相手に仕事をしている私の経験からすれば、このように反応にワンクッション置くことは、とても難しいことなのです。
その子どもは、超越瞑想法のおかげで刺激と反応の間にほんの少しの時間を置けるようになったので、それから考えたり、予定を立てたり、この状況でとるべき行動は何かと自問したりできるのです。それは、彼が瞑想を始める前には持っていなかった能力です。

質問:超越瞑想法がADHDの治療に役立つことを示す研究は他にもありますか?

スティクスラッド博士:ほとんどの研究者は、ADHDは複数の実行機能の障害であると考えています。
「実行機能」とは、脳前部が司る諸機能、すなわち、目的のある行動を実行するために必要な精神的な統制や組織化の能力を指します。
たとえば、何かをやり遂げなければならない場合、あなたは計画を立て、その計画の準備をし、関連する情報を記憶の中に保持する必要があります。そして、自己監視を行い、「進捗状況はどうか?」と自分自身に問いかける必要があります。

超越瞑想に関する数百もの研究は、これらの実行機能のすべてが超越瞑想によって改善されることを示しています。超越瞑想がこうした効果を生みだす理由は、瞑想によって脳機能の同調が高まるからであり、またストレスというすべてを悪化させる要因が減少するためです。

質問:瞑想はすごいと思いますが、私は自分の子を集中力のある子どもにしたいと思っています。あまり消極的な子どもにはしたくはありません。

スティクスラッド博士:ときどき親御さんたちは、子どもが瞑想をしてあまりにも落ち着いてしまったら、やる気までなくなってしまうのではないかと心配します。ですが実際には、それとは正反対のことがよく体験されています。

超越瞑想法をすれば、ゆったりとくつろいだ状態になることは事実ですが、その一方でより活発な状態にもなります。
瞑想には有益な効果がたくさんありますが、その効果は、脳の活性化と生理の深い休息という独特な組み合わせから生みだされています。瞑想している人々の共通の体験は、彼らがやる気をなくすのではなく、やる気を有効に発揮することが簡単にできるようになるということです。

そういう人々は、悩みや過度の不安でエネルギーを消耗したりはしません。彼らは上手に計画を立て、はっきりとした目標に向かっていけるようになります。子どもたちがTMを規則的に実践している学校を見学すれば、その子どもたちが驚くほど成功しているのがわかるでしょう。

そこの生徒たちは、学業でも、スポーツでも、芸術でも、すべてのことに並はずれた成果を上げています。ですから、超越瞑想法をすると子供が消極的になり、やる気や興味を失うかもしれないという考えはまったくの見当違いだと思います。それとはまったくの逆なのです。